血液検査項目の解説
血液検査表を見るとき、コツは一項目だけでなく複数項目をリンクさせて考えることです。慣れればきっとだれでも理解できるようになります!
では、かなり簡単ではありますが、私なりに解説してまいります。
白血球数(WBC)
免疫細胞の数。感染症のときに高く、骨髄を障害する病気や抗がん剤などで低下します。低いと感染症に罹りやすく、また重症化しやすくなります。CRPよりも先に反応しやすい傾向があります。肝炎ウイルスや胆管感染症を疑うとき、ALTやALPと併せて見ていきましょう。
赤血球(RBC)
体内で酸素を運び、二酸化炭素を回収する赤血球の数。貧血の原因は、免疫の異常、感染症などが挙げられますが、専門家にもよくわからないことが多々あります。脱水状態は、血が濃いと表現されることがあります。飲水量が少なければ脱水になるのは当然ですが、下痢、嘔吐、出血などで水分をたくさん失っても脱水になります。そのとき他にミネラル濃度の異常を伴っているかもしれません。
血小板(PLT)
血液を固める役割を担う細胞です。骨髄で作られ、古くなると脾臓で破壊されます。骨髄や脾臓の病気で変動します。また肝臓障害でも変動することがあります。エコーで脾臓が腫れているようなとき、RBCとともに低くなることがあります。
ALT(GPT)
肝臓障害で上昇。肝臓に含まれる酵素ですが、肝臓が障害を受けると血管に漏れ出してきます。ですので肝臓の調子を知るのに適した検査値と言えます。
肝臓病、肝臓がんなどで高くなる他に、プレドニゾロンを始めとする免疫抑制剤や抗がん剤の使用でも高くなります。これは免疫が低下することによって肝炎ウイルスが暴れだしてしまうことが一因です。
ALP(ALKP)
胆管、胆のうの障害で上昇。胆汁に多く含まれる酵素ですが、何らかの原因で胆汁が逆流すると血液に混入してきます。胆泥症や胆管感染症などで胆汁が滞っている可能性を考えます。酷くなってくるとビリルビンも上昇してきます。
ガンマGTP(γ-GTP、GGT)
肝臓、胆管、胆のう障害で上昇。一部の抗てんかん薬を服用している子ではガンマGTPの産生が誘導されるために高くなります。
総ビリルビン(TBil)
胆汁に多く含まれる老廃物で有害です。胆汁の逆流や肝臓病の進行により血液に混入してきます。黄色く、便の色や黄疸の色となります。ビリルビンの上昇はALTやALPの上昇よりも深刻に捉えたほうが良いです。
アンモニア(NH3)
体内でタンパクから作られる有害物質です。肉食ではより多く作られます。肝臓の大事な仕事の一つが、このアンモニアの処理です。しかし肝臓が機能低下を起こしていると血液から取り除けなくなります。
血液中のアンモニアが増えすぎると脳にダメージが及びます。それを阻止するために肝臓がアンモニアを分解するわけですが、状況を見誤った食事を続けていると肝臓自体にもダメージが蓄積していきます。
クレアチニン(Cr、CRE、CREA)
筋肉で作られる老廃物。血液に入り腎臓で速やかに尿中に捨てられる。腎臓障害では血液中に残りやすいため、腎機能の良し悪しを知るのに適した検査値と言えます。
高くなるとすぐに腎不全と言われ一生に渡る投薬治療が始まることがありますが、特に薬を使わずとも下がるケースがしばしば見受けられます。つまり一過性の場合もあるということです。複数回の検査結果から判断したほうが良いでしょう。
尿素窒素(BUN)
タンパク質の最終的な老廃物である尿素を測る検査値です。腎機能障害で上昇しますが、腎臓が壊れていなくとも過度な肉食で上昇してきます。ですので高いからと言ってただちに腎機能の不調を示すわけではありません。あくまでクレアチニン補助的な数値だと考えたほうが良いです。
C反応性タンパク(CRP)
体内の炎症や組織破壊で現れるタンパク質。感染症やがん、怪我、胃腸炎などで上昇してきます。ただの風邪程度ではあまり上昇しません。
体内の慢性炎症と寿命には関連性がありますので、食生活、生活環境を見直す際の指標として、CRPを参考にするのはありだと思います。