- 動物病院に関すること
- 薬に関すること
- その病気、副作用かもしれません
- 薬の副作用を自分で学ぶ
- 動物病院とケンカにならないように
- よく使われる薬の説明
- プレドニゾロン(プレドニン、ステロイド剤、副腎皮質ホルモン)
- エンロフロキサシン(バイトリル、フルオロキノロン系合成抗菌薬、ニューキノロン系合成抗菌薬)
- アモキシシリン(アモキクリア、ペニシリン系抗生物質)
- フルドロコルチゾン(フロリネフ、アジソン病治療薬)
- ピモベンダン(ベトメディン、ピモベハート、心不全治療薬)
- ウルソ(ウルソデオキシコール酸、肝臓治療薬、利胆剤)
- トレピブトン(スパカール、利胆剤、膵炎症状緩和剤)
- フェノバルビタール(フェノバール、抗てんかん薬)
- シクロホスファミド(エンドキサン、抗がん剤、アルキル化剤)
- ビンクリスチン(オンコビン、抗がん剤)
- ドキソルビシン(アドリアシン、抗がん剤)
- ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ、白血病・リンパ腫治療薬)
- ベナゼプリル(ベナゼハート、チバセン、高血圧治療薬)
- ベザフィブラート(ベザトールSR、高脂血症治療薬、中性脂肪低下剤)
- メトロニダゾール(フラジール、感染症治療薬)
- シクロスポリン(ネオーラル、免疫抑制剤)
- トリロスタン(アドレスタン、デソパン、アルドステロン症治療薬、クッシング症候群治療薬
- レベチラセタム(イーケプラ、抗てんかん薬)
- ゾニサミド(コンセーブ、エクセグラン、抗てんかん薬)
- チラーヂンS(レボチロキシン、甲状腺ホルモン製剤)
動物病院に関すること
病院を取り巻く経済状況
ペットの激減にともない非常に厳しい状況と言えます。
犬は2025年現在600万頭しかおらず、15年前の1200万頭から半減してしまいました。猫は正確な数がわかりませんが、日本各地で外猫が激減しているようです。
動物病院は収益を確保するために、客数の減少分を、一人から多く取ることで賄っています。
犬の飼育費用は現在350万円以上と考えられますが、この先もペットが増加する見込みは薄く、さらに高額化していくでしょう。
獣医師は嫌がるでしょうが、健康を人に委ねるだけではなく、積極的にセルフケアを取り入れることが抜本的な対策となります。
動物病院によって言われることが違う
そんな事があって良いのかと思われるかもしれませんが、動物病院によって違う診断を受けるといった事例は多々あります。
彼らの肩を持てば、それほど病気の診断は難しく、プロでもたびたび間違うということです。
しかしながら利用者側からすれば、誤診は経済的にも時間的にも損失であり、ペットの健康被害にも直結します。
事実として、獣医師にはそれぞれ勉強量、経験量、センス、技量の差があります。そもそも大学にレベル差(偏差値)があり優秀な獣医師の輩出数に差があります。
こうした能力差の話はタブーかもしれませんが、知らずに誰でも信頼してしまうというスタンスではペットの健康を守ることはできません。
獣医師の説明を録音しておくこと、そして質問は「だいたい何パーセントですか」「何ヶ月くらいですか」と数字で答えてもらうようにして、正しい判断のための材料を集めましょう。
検査の頻度、早期発見について
早期発見・早期治療によって救われる命があることは事実です。事実ではありますが、誤解も含んでいます。
たとえば10歳の子が、がんを早く見つけ、早期治療を開始して、おかげで3年間生きることができたという話があったとします。
それに対して、12歳でやっと検査をしてがんを見つけ、1年間しか生きられなかったという話と比較してみましょう。
この比較ケースでは、どちらも13歳まで生き、早期発見の意味は何もありません。
しかしまったく異なることがあります。
前者は、通院、検査、手術、抗がん剤、副作用発現といった闘病生活だったと推測され、後者よりも楽しみが減ったと考えられます。
早期発見・早期治療が無意味だと言っているわけではありません。
しかし早い医療介入が必ずしもペットとの楽しい時間を増やすとは限りません。私個人としては、検査はほどほどに、やりすぎるほど金銭面でも健康面でも幸せ感でも損しやすくなってくると考えています。
エビデンスの誤解
エビデンスという言葉に私たちは何となく科学的な根拠を感じます。ただ誤解が多分に含まれています。
「エビデンスがある」と言ったとき、それは客観的で信じるに値するデータがあるということですが、実際にはそれだけでは意味をなしません。
世の中にはたくさんの薬があります。優れた薬もあれば、そうでもない薬もあります。あまり役立たない薬にも「エビデンスがある」のです。
エビデンスと聞いたとき、大事なのはその中身です。
「10頭いたらどのくらいの子が改善しますか?」と確認すると良いです。
CT検査について
獣医師はときどき「もっと詳しく調べたいならCT検査を受けてください」と言います。しかし気軽に受けて良いものなのでしょうか。
CT検査を実施する主な目的はがんや、がんの転移を見つけることです。
そうした大病では、全身麻酔や大量の放射線被ばく、精神的な苦痛も許容できるかもしれません。
しかしCTで被るリスクはエコー検査やレントゲンの比ではありません。健康チェック程度で気軽に受けるべきではありません。
「エコーで問題がなかったからCT検査をしてみましょう」などという支離滅裂な説明があれば、強い警戒感を覚えます。
薬に関すること
その病気、副作用かもしれません
薬は本来、病気を治療するものではありますが、理解不足で使っていると薬が病気の原因になります。
糖尿病、腎臓病、肝臓病は薬によっても誘発されます。失明、難聴、味覚障害、嗅覚障害、しびれといった五感の異常、めまい、興奮、不眠、うつといった脳の中枢的な異常も起こることがあります。
そうしたことをすべて事前に教えてくれる動物病院はほぼありません。副作用が疑わしいケースでも、頑なに認めないこともあるようです。
特に死に至る重大な副作用は飼い主の治療拒否に繋がるため、説明がマイルドになる傾向が見られます。
例えば抗がん剤の副作用は、ときに死に至るほど強烈ですが、「犬の場合はほとんど副作用は出ない」と説明されて納得してしまう飼い主がいます。
動物医療では人に比べて、体重あたりの薬量が多い傾向があり、副作用はより多く、より強く出るだろうと私は考えています。
薬の副作用を自分で学ぶ
ペットに対しては人と同じ薬がよく使われます。その理由は動物の体の仕組みが人とほとんど変わらないためです。
同じような効果が期待できるわけですが、副作用も同じように出ます。
「頭痛」「胃痛」「耳鳴り」「めまい」「手足のしびれ」「視覚異常」「味覚異常」「嗅覚異常」「腹部膨満感」「動悸」「悪心」「悪夢」「気分の落ち込み」「幻聴」「幻覚」
おそらく大勢のペットたちが、一度や二度は上記のような副作用で悩んだことがあるでしょう。でも彼らは不快さを言葉にしないため、獣医師も飼い主も見逃します。
彼らの心の声を聞けるのは飼い主しかいません。
だからこそ薬についての知識を持ってもらいたいのです。
正直、動物用の添付文書では情報が不十分ですので、人向けの添付文書で補完しましょう。
少なくとも今与えている薬の副作用は把握しておき、異常を見逃さないようにしましょう。
動物病院とケンカにならないように
ここで学んだ人は、動物病院がいかに説明不足であるかを知ることになるでしょう。ただ相手方にもいろいろな事情があるのです。
こちらが大人になり、仲良く付き合う、もしくは上手く利用しましょう。
よく使われる薬の説明
動物治療によく使われる薬をピックアップしています。
ほとんどの薬には副作用があります。ですので大原則としてまったく効果が得られていない場合は中止です。
効果を得られていたとしても、健康を害する副作用が出ているなら中止や減薬を検討します。
プレドニゾロン(プレドニン、ステロイド剤、副腎皮質ホルモン)
免疫抑制剤です。感染症やがん、肝臓病、糖尿病、白内障、緑内障、胃腸障害の子は悪化に気をつけます。
エンロフロキサシン(バイトリル、フルオロキノロン系合成抗菌薬、ニューキノロン系合成抗菌薬)
抗菌剤です。複数の菌に対する幅広い殺菌作用を持ちます。耐性菌の発現を考慮して7日以内までの投与とします。14日までの追加は慎重に投与します。
バイトリルは人には認可されておりません。類薬のレボフロキサシンの添付文書を出しますが、副作用がはるかに詳しく記載されており、ある程度は参考にできます。
アモキシシリン(アモキクリア、ペニシリン系抗生物質)
ペニシリン系の抗生物質です。バイトリルに比べて抗菌スペクトルは狭くなります。
同成分の人向け薬剤の添付文書です。動物向けよりもはるかに詳しい記載があります。
フルドロコルチゾン(フロリネフ、アジソン病治療薬)
鉱質コルチコイド作用を持ち、プレドニゾロンと似た作用およびな副作用を有します。服用中は免疫が低下します。
ピモベンダン(ベトメディン、ピモベハート、心不全治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2119006
ウルソ(ウルソデオキシコール酸、肝臓治療薬、利胆剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2362001
トレピブトン(スパカール、利胆剤、膵炎症状緩和剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2369003
フェノバルビタール(フェノバール、抗てんかん薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/1125003
シクロホスファミド(エンドキサン、抗がん剤、アルキル化剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4211002
ビンクリスチン(オンコビン、抗がん剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4240400
ドキソルビシン(アドリアシン、抗がん剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4235402
ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ、白血病・リンパ腫治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4291400
ベナゼプリル(ベナゼハート、チバセン、高血圧治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2144007
ベザフィブラート(ベザトールSR、高脂血症治療薬、中性脂肪低下剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2183005
メトロニダゾール(フラジール、感染症治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/6419002
シクロスポリン(ネオーラル、免疫抑制剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999004
トリロスタン(アドレスタン、デソパン、アルドステロン症治療薬、クッシング症候群治療薬
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2499008
レベチラセタム(イーケプラ、抗てんかん薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/1139010
ゾニサミド(コンセーブ、エクセグラン、抗てんかん薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/1139005
チラーヂンS(レボチロキシン、甲状腺ホルモン製剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2431004