- 動物病院に関すること
- 薬に関すること
- 病気の原因の一つは薬の副作用
- 薬の副作用を自分で学ぶ
- 動物病院とケンカにならないように
- よく使われる薬の説明
- プレドニゾロン(プレドニン、ステロイド剤、副腎皮質ホルモン)
- エンロフロキサシン(バイトリル、フルオロキノロン系合成抗菌薬、ニューキノロン系合成抗菌薬)
- アモキシシリン(アモキクリア、ペニシリン系抗生物質)
- フルドロコルチゾン(フロリネフ、アジソン病治療薬)
- ピモベンダン(ベトメディン、ピモベハート、心不全治療薬)
- ウルソ(ウルソデオキシコール酸、肝臓治療薬、利胆剤)
- トレピブトン(スパカール、利胆剤、膵炎症状緩和剤)
- フェノバルビタール(フェノバール、抗てんかん薬)
- シクロホスファミド(エンドキサン、抗がん剤、アルキル化剤)
- ビンクリスチン(オンコビン、抗がん剤)
- ドキソルビシン(アドリアシン、抗がん剤)
- ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ、白血病・リンパ腫治療薬)
- ベナゼプリル(ベナゼハート、チバセン、高血圧治療薬)
- ベザフィブラート(ベザトールSR、高脂血症治療薬、中性脂肪低下剤)
- メトロニダゾール(フラジール、感染症治療薬)
- シクロスポリン(ネオーラル、免疫抑制剤)
- トリロスタン(アドレスタン、デソパン、アルドステロン症治療薬、クッシング症候群治療薬
- レベチラセタム(イーケプラ、抗てんかん薬)
- ゾニサミド(コンセーブ、エクセグラン、抗てんかん薬)
- チラーヂンS(レボチロキシン、甲状腺ホルモン製剤)
動物病院に関すること
動物病院によって言われることが違う
そんな事があって良いのかと思われるかもしれませんが、実際はとても多い事例です。
それほど病気の診断は難しく、プロでもたびたび間違うということです。
また獣医師にはそれぞれの価値観があるうえ、勉強量、経験量、センス、技量が違います。もっと言ってしまうと、そもそも大学にレベル差(偏差値)があり優秀な獣医師の輩出数に差があります。そのうえで一般人と同じく頭の硬い人も柔らかい人もいます。
なぜそこまで言えるかと申し上げますと、薬剤師がそうだからです。
こうしたことから、病院によって言われることが違うのは、むしろ当然のことだと言えます。
検査の頻度、早期発見について
早期発見・早期治療によって救われる命があることは事実です。事実ではありますが、誤解も含んでいます。
たとえば10歳の子が、がんを早く見つけ、早期治療を開始して、おかげで3年間生きることができたという話があったとします。
それに対して、10歳のときに検査をしなかったためにがんを見つけるのが2年遅く、何もしなかったので1年間しか生きられなかったという話と比較してみましょう。
みなさんは、この2つのケースにどのような差があると思いますか?
一見すると1年間が3年間に延びたように錯覚しますが、実際にはどちらも10歳から3年間、つまり13歳まで生きています。
その3年間の内容は異なります。前者は、通院、検査、手術、抗がん剤、副作用発現といった闘病生活だったと推測され、後者は基本的には今までと変わらない生活だったと推測されます。
早期発見・早期治療が無意味だと言っているわけではありません。動物病院は積極的に勧めるでしょう。
ですが私たち飼い主は冷静に考えなくてはなりません。早期発見のための検査は年に一回?半年毎?1ヶ月毎?毎週?毎日?
ペットにどれだけ負担をかける?どれだけ大切な時間やお金を投じる?そういったことも考え、ここまでにしよう!と決めましょう。決めたのでしたら後になって、もっとたくさん検査をしておけばよかったなどと自分を責めすぎないようにしましょう。
私個人としては、検査はほどほどに、やりすぎると損が増えると考えています。
エビデンスの誤解
エビデンスという言葉に私たちは何となく科学的な根拠を感じます。ただ誤解が多分に含まれています。
「エビデンスがある」と言ったとき、それは客観的で信じるに値するデータがあるということですが、実際にはそれだけでは意味をなしません。
世の中にはたくさんの薬があります。優れた薬もあれば、そうでもない薬もあります。あまり役立たない薬にも「エビデンスがある」のです。
エビデンスと聞いたとき、大事なのはその中身です。いまいちな薬にも、副作用がよく出る薬にも「エビデンスがある」ことはぜひ理解しておきましょう。
CT検査について
獣医師はときどき「もっと詳しく調べたいならCT検査を受けてください」と言います。しかし気軽に受けて良いものなのでしょうか。
CT検査はレントゲン検査の発展形のようなものです。数百~数千枚のレントゲン撮影画像を組み合わせて、コンピューターで身体の断面図を作成したり三次元で見れるようにしてくれます。
CT検査を実施する主な目的はがんや、がんの転移を見つけることです。
撮影には少し時間がかかるので、人ならばじっとしておいてもらいます。犬猫はじっとしていられないので全身麻酔で意識を失わせます。
撮影にはレントゲンと同じX線を用いますが、放射線被曝量の多さは桁違いです。多くの医療関係者はたいした被爆ではないと考えていますが、一部の専門家はCTによって発がんするケースが有ると考えています。
私個人としては、CT検査を否定しないものの、本当に必要性が高いときに検討し、健康チェック程度で気軽に受けるべきではないと考えております。
薬に関すること
病気の原因の一つは薬の副作用
薬は本来、病気を治療するものではありますが、理解不足で使っていると薬が病気の原因になります。
生活習慣病である糖尿病、腎臓病、肝臓病は薬によっても誘発されます。失明、難聴、味覚障害、嗅覚障害、しびれといった五感の異常、めまい、ふらつき、興奮、うつといった脳の中枢的な異常も起こることがあります。
そうしたことをすべて事前に教えてくれる動物病院は少なく、また原因が副作用だとはっきり言ってくれない動物病院もあるようです。
特に死に至る副作用、重大な副作用を伝えると飼い主さんが嫌がるためか、説明しない動物病院があるようです。
動物医療では人に比べて薬を多めに(家畜に準じて)使う傾向がありますので、より副作用が出やすいのではないかと私は考えています。そして動物病院の説明が十分だとは考えず、自分で補っていくのが良いでしょう。
薬の副作用を自分で学ぶ
ペットに対しては人と同じ薬がよく使われます。その理由は動物の体の仕組みが人とほとんど変わらないためです。
ですので同じような効果が期待できるわけですが、副作用も同じように出ます。
「頭痛」「胃痛」「耳鳴り」「めまい」「手足のしびれ」「視覚異常」「味覚異常」「嗅覚異常」「腹部膨満感」「動悸」「悪心」「悪夢」「気分の落ち込み」「幻聴」「幻覚」
おそらく大勢のペットたちが、一度や二度は上記のような副作用で悩んだことがあるでしょう。
でも彼らは不快さを言葉にできないために、獣医師も普通に見逃します。
彼らの声を一番聞くことができるのは飼い主であり、だからこそ薬についての知識を持ってもらいたいのです。
正直、動物用の添付文書では情報が不十分ですので、人向けの添付文書で補完しましょう。
少なくとも今与えている薬について、特に副作用や注意事項については知っておいて、できる限り副作用を軽減しましょう!
動物病院とケンカにならないように
ここで学んだ人は、動物病院がいかに説明不足であるかを知ることになるでしょう。ただ相手方にもいろいろな事情があり、一概に動物病院が悪いとは言えません。仲良く付き合っていきましょう。
よく使われる薬の説明
動物治療によく使われる薬をピックアップしています。ほとんどの薬には副作用があります。そのため大原則としてまったく効果が得られていない場合は中止です。効果が得られていても健康を害する危険な副作用が出ている場合は中止や減薬を検討します。
プレドニゾロン(プレドニン、ステロイド剤、副腎皮質ホルモン)
免疫抑制剤であり、男性ホルモン様の作用を持ちます。感染症やがん、肝臓病、糖尿病、白内障、緑内障、胃腸障害の子は悪化に気をつけます。
エンロフロキサシン(バイトリル、フルオロキノロン系合成抗菌薬、ニューキノロン系合成抗菌薬)
抗菌剤です。複数の菌に対する幅広い殺菌作用を持ちます。耐性菌の発現を考慮して7日以内までの投与とします。14日までの追加は慎重に投与します。
バイトリルは人には認可されておりません。類薬のレボフロキサシンの添付文書を出しますが、副作用がはるかに詳しく記載されており、ある程度は参考にできます。
アモキシシリン(アモキクリア、ペニシリン系抗生物質)
ペニシリン系の抗生物質です。バイトリルに比べて抗菌スペクトルは狭くなります。
同成分の人向け薬剤の添付文書です。動物向けよりもはるかに詳しい記載があります。
フルドロコルチゾン(フロリネフ、アジソン病治療薬)
鉱質コルチコイド作用を持ち、プレドニゾロンと似た作用およびな副作用を有します。服用中は免疫が低下します。
ピモベンダン(ベトメディン、ピモベハート、心不全治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2119006
ウルソ(ウルソデオキシコール酸、肝臓治療薬、利胆剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2362001
トレピブトン(スパカール、利胆剤、膵炎症状緩和剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2369003
フェノバルビタール(フェノバール、抗てんかん薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/1125003
シクロホスファミド(エンドキサン、抗がん剤、アルキル化剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4211002
ビンクリスチン(オンコビン、抗がん剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4240400
ドキソルビシン(アドリアシン、抗がん剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4235402
ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ、白血病・リンパ腫治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4291400
ベナゼプリル(ベナゼハート、チバセン、高血圧治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2144007
ベザフィブラート(ベザトールSR、高脂血症治療薬、中性脂肪低下剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2183005
メトロニダゾール(フラジール、感染症治療薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/6419002
シクロスポリン(ネオーラル、免疫抑制剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/3999004
トリロスタン(アドレスタン、デソパン、アルドステロン症治療薬、クッシング症候群治療薬
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2499008
レベチラセタム(イーケプラ、抗てんかん薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/1139010
ゾニサミド(コンセーブ、エクセグラン、抗てんかん薬)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/1139005
チラーヂンS(レボチロキシン、甲状腺ホルモン製剤)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2431004