前回まで、アレルギー性皮膚炎からマラセチアへの連鎖、シャンプーの落とし穴について話しました。今回は「では薬はどう使うべきか」という、飼い主が一番迷うところを佐々木先生に直接聞きました。
これまでの対談と重複する内容もあります。ただ薬剤師として、偏った話はしたくない。アイテムを紹介するにしても、薬を叩いて良さを強調するようなことにはしたくないのです。その性分で、あえてこの回を作りました。
佐々木先生との対談音声(③)
アルピニア開発者の佐々木先生も、薬は使います。そのうえで、薬には良い面と悪い面があることを理解して、正しく付き合っていくという、長期戦略的な話です。

参考図解
火災報知器が鳴っているのに眠れるか
「火災報知器のアラームが鳴っている。サプリメントはその原因を探して根本から消火しようとするもの。でもまず、うるさいから止めないといけない。静かになってから、燃えているところを探せばいい。」
痒みで夜も眠れない。それは犬だけではなく、それを見ている飼い主も眠れない。ダブルで限界になっている状態に、「3ヶ月飲めば変わってきますよ」とサプリの話をするのは現実的ではない。
まず痒みを止める。そのために薬は必要です。佐々木先生は西洋医学を否定していません。むしろ最初は使うべきだと言っています。

薬は短期的にメリットが大きい。
犬は痛くても止まれない
もう一つ、知っておいてほしい話があります。
犬の痛点は人間の約3分の1しかありません。だから掻いても痛くない。痛くないから止まれない。気づいたら血が出るまで掻いている——飼い主がよく経験する場面です。
掻き続けると2次感染、3次感染へと進みます。耳を掻いた後に、今度は顔を地面にこすりつけて目を傷つける。症状が次々と別の場所に移っていく。
だから早く止めてあげることが、長期的に見ても正しい選択になります。
落ち着いたら、話が変わる
薬で痒みが治まったら、そこから先の話が変わります。
「寿命まで考慮してなんぼの獣医師、動物病院」です。症状を抑えることがゴールではない。その後いかに薬を最短で終えて、食事やセルフケアに移行できるかが本当の目的です。
薬の連鎖——副作用を抑えるためにまた薬を飲む——はなるべく避けたい。ペットは人間と違って、10錠もの薬を、身体のためだと前向きに飲みません。飲まされると逃げる。そのことが、なるべく少ない薬で済ませるという方針を自然に後押ししています。
西洋薬とセルフケアの関係
整理するとこうなります。
急性期・症状が強い時期は、薬で速やかに症状を抑える。落ち着いてきたら、薬を最短で終えてセルフケアへ移行する。もちろん同時でも良い。いずれにしても長期管理は食事とサプリで根本を整える。
この流れを最初から設計しておくことが、ペットの寿命と生活の質を守ることにつながります。