病気の本音

がん(悪性腫瘍)の本質がわかるQ&A

がんとは何ですか? 正常な細胞が何らかの原因で制御を失い、無限に増殖し続ける状態です。通常、細胞は一定の寿命があり、古くなると自然に死んでいきます(アポトーシス)。がん細胞はこの「死ぬ仕組み」が壊れており、死ねなくなった細胞とも言えます。増え続けることで周囲の組織を侵し、やがて臓器の機能を奪っていきます。実はがん細胞は健康な体の中でも毎日生まれています。しかし正常な免疫機能がそれを毎日駆逐しています。がんになるということは、この攻防のバランスが崩れた状態です。突然異変が起きたのではなく、長い時間をかけて免疫が追いつかなくなった結果と考えるほうが正確です。がん細胞は死なないってどういうことですか? 正常な細胞には「寿命が来たら死ぬ」というプログラムが組み込まれています。これをアポトーシスと言います。がん細胞はこのプログラムを無効化しており、いくら時間が経っても死にません。さらに免疫細胞に攻撃されても生き残る仕組みまで持っています。単に「増えすぎる細胞」ではなく「死ねなくなった細胞」というのが本質です。がん幹細胞とはなんですか? がん細胞の中に、特に治療への抵抗性が強く、再発の源になるとさ...
薬の本音

ペットの薬の副作用を調べる方法

薬の副作用を知らずに使い続けることは危険です。なぜなら副作用を病気だと勘違いして、さらに薬が追加される可能性があるためです。ますます副作用リスクが上昇してしまいます。以下の3つの方法で、一通り調べることができます。① 医薬品公開情報検索ボット(岡田作成) まずここから入るのが一番手軽です。信頼できるデータベースや公的情報を横断的に収集してくれるボットです。2026/4現在のChatGPTの仕様では、未ログイン・未課金のユーザーも普通に利用できます。② PMDA(医薬品医療機器総合機構) 人向けの添付文書が閲覧できます。副作用の一覧が記載されています。人に起こる副作用は犬でも猫でも起こり得ます。③ 動物用医薬品等データベース 動物専用の薬はこちらで調べてください。ただし情報は人向けに比べて貧弱です。書かれていないから安全とは言えません。この3つを使えば一通り網羅できます。調べてみると、知らなかった副作用が出てくることが多いはずです。怖いと感じたら、それは正常な反応です。その感覚を大切にしてください。獣医師に見せても大丈夫ですか? はい、とくに②と③はストレートな公の情報ですので、構いませ...
薬の本音

安全神話が崩れる薬の本音Q&A

薬って飲み続けないといけないんですか? 必ずしもそうではありません。基本的に薬は対処療法と言って、病気を根治させるものではありません。体を正常化させるのではなく、都合よく変化させようとするものです。それで納得できるなら続ける。それがおかしいと考えるなら、別の方法を探る。つまり飼い主の方針によって、それぞれ答えは変わってしまうとも言えます。ちなみに私の場合は、医者に言われようができる限り薬は控えるという方針です。薬をやめたいんですが、どうすればいいですか? まずは慎重に正しく現状を評価分析することです。効いていない薬は止めたほうが良い、というよりも止めなくてはなりません。それが薬物治療の大原則です。そのうえで、実際に止められるかどうか、それを確認する作業として、減薬から考えるのが安全と言えます。例えば週に一回飲まない日を作って観察する。実際に薬を止めたことがない人は、とにかく安全第一でやってください。できるだけ獣医師の同意をもらったほうが良いです。薬の副作用って、どう見分けるんですか? 薬の副作用を見分けるために、まずその薬にはどんな副作用があるのかを知る必要があります。「PMDA」と検...
病気の本音

病気の本質を明らかにしていくQ&A

病気って生まれ持っての個体差ですか? 個体差もありますが、弱い要素です。現代の病気は生活習慣病が多く、つまり生活の中に原因があります。良かれと思っていた食事が裏目に出ていたり、ストレスによる肉体への影響を軽視していたり。あとは薬の副作用を知らずに病気にしてしまうケースは意外と多いと推測しています。つまり正しい知識で減らせる病気ばかりです。誤解を恐れずに言ってしまえば、おかしな情報が病気を作っているという見方も可能です。同じ病気でも治る子と治らない子がいるのはなぜですか? これも個体差で片付けてはいけません。まず病院によって診断が異なるケースが多いこと、治療法が異なることが挙げられます。あとは治療に丸投げするか、家でセルフケアを加えるかといったこと。つまり飼い主の取り組み、その前提となる知識の差、観察と修正ができているか、そうしたことが挙げられます。自然治癒力って本当にあるんですか? あります。自然治癒力というと広範囲ですが、例えば傷が癒える、腫れがおさまる、風邪が治る、下痢が止まる、吐かなくなる、そうしたことはすべて自然治癒力です。ついでに誤解を解いておくと、抗生物質で感染症が治るわけ...
医療の本音

動物病院との正しい付き合い方Q&A

動物病院の数って、多すぎませんか? 多いと思います。私の調べではペットの数は急減していますが、動物病院の数は増加しています。完全に矛盾していますが、それを支えているのが一人ひとりの窓口負担額。一匹あたりの医療費は15年程度でおそらく倍以上に増えています。セカンドオピニオンって、失礼じゃないですよね? 失礼ではなく、飼い主が活用するべき制度です。転院ですら飼い主の権利ですが、セカンドオピニオンはもっと気軽なものです。意味としては今の獣医師が正しいことを、他の獣医師に評価してもらうわけです。そう考えると失礼さはありませんし、むしろ獣医師からしたら「どうぞどうぞ」という感じのはずです。もし嫌がる獣医師がいたとしたら、それこそセカンドオピニオンを使うべきです。検査を勧められるんですが、全部受けたほうがいいですか? そうとは言えません。医療依存という言葉があります。とくに動物病院の数が過剰気味な現在、健康のすべてを丸投げしてしまえば、費用や時間のみならず、身体の負担や精神的なストレスもかさむでしょう。動物病院は医療施設であると同時に、サービス業でもある。そうした視点に多くの飼い主さんは違和感を覚...
相談室

理解が追いつかない、知識の増やし方

知識も食事も一緒ですよ!ただ飲み込むのではなくて、咀嚼して体に取り込みます。入れるだけでなく理解が大切です。スピードは人それぞれですので、マイペースで自分の栄養にしてください。
栄養の本音

常識が非常識になる栄養科学のQ&A

空腹時間で長寿って、どういった仕組みですか? 動物の体は食糧難の時代にあわせて設計されており、長い空腹時間は体に負荷が少なく、壊れにくい。病気が減るために寿命が短くなりにくい。つまり長寿になりやすいということです。現代の我々には想像できませんが、つい200年前まで人は常に飢餓に悩まされ、食べるものが無くて死ぬ人もいました。人に依存して生きる犬や猫たちも同じです。500年前、1000年前、1万年前、10万年前と、時代を遡るほど厳しい時代だったのは言うまでもありません。そうした時代を生き抜くことができたのは、身体の中にオートファジーという仕組みがあるおかげです。本来は壊れた筋肉を便や尿に捨てません。一旦バラバラの材料にして、また筋肉に作り変えます。このエコなリサイクルシステムは、身体にとって負荷が少ないのです。車に例えれば、少燃費運転がエンジンを長持ちさせるような感じです。現代はこのエコカーにガソリンを注ぎ込み、アクセル全開で運転している状態、そう考えてもらって良いでしょう。草食動物の仕組みは雑食でも可能ですか? 可能です。まず我々日本人で考えてみましょう。今のように当たり前に肉を食べるの...
飼い主の盲点

目のウロコが剥がれ落ちるQ&A

Q1. 残飯で長生きしている子がいるのはなぜ? 食材がワンパターンではなく、多様性がある。人との差別感があまりない。Q2. 最高齢のペットが38歳って本当ですか? 本当だ。38歳の猫が世界記録で、同じ人が少なくとも6匹を30歳以上に育てている。つまり飼育方法の正解はすでに示されている。Q3. 長寿のギネス記録って最近は更新されてないですよね? ここ20年間更新されていない。最近の栄養学、飼育法に問題があるのだろう。Q4. 獣医師のペットって別に長生きしてないじゃないですか? 私も15年ほどこの業界にいるが、そんな気がする。Q5. 栄養士のペットが長生きしてるって話も聞きませんよね? 私もまったく聞いたことがない。Q6. 栄養士自体も長生き職とは言えないのでは? 私が調べた限りでも、栄養士は長生き職とは言えない。Q7. 高いフードを食べているのに病気になるのはなぜ? 高いフードが正解じゃないことを示している。栄養よりも重要なことがある。Q8. 手作り食ってミネラルが不足しやすくないですか? 不足しやすい。塩をはじめとしたミネラルの不足は病気の背景となる。気がつかなければ治るものも治らない...
相談室

今日2回吐いたが受診するべきか?前回は問題ないと言われた

病院に行くべきかを現状だけで決定するとなると難しいと思います。決まりではありませんが、参考までに次のような判断基準で考えてはどうでしょうか。①時間が経つほど、どんどん体調が悪くなってくる②時間が経つほど、落ち着く、良くなってくる①の場合は受診したほうが安心です。②では受診の必要性は下がりますが、もちろん受診するのは構いませんし、それはもう人それぞれの自由です。
相談室

アルブミン2.2、タンパクは摂れてるのに低い理由(元気、肝機能改善傾向)

アルブミン2.2が低めなのは確かです。ただ肉不足を原因とする考え方には、私も違和感があります。病気ではない可能性も考慮しつつ、腸内へのタンパク漏出の可能性から、腸活に取り組んではどうでしょうか。以前話した納豆などの発酵食品、あとは消化の悪い炭水化物も善玉菌を喜ばせます。具体的には根菜類をトッピングするのはどうでしょう。いまよりさらに肉を増やという指示はリスクを内包しており、腸内悪玉菌は増加、アンモニア増加の流れから腸管のダメージとなり得ます。落ち着いてきている肝臓の負担も増やしかねません。
相談室

GPT150、元気なうちにプラセンタを始めていいか?(肉多めの食事)

数値だけで考えるなら、GPT(ALT)150は、肝臓病だとしても初期の初期。元気であることからも、むしろ健康に近いと考えます。プラセンタを与えるのはもちろん大丈夫。本当に肝臓が悪くなれば、結局は肉を減らすことになる。今のうちからゆっくり減らしフード換算で20%くらいに持っていきましょう。
病気の本音

【肝臓病まとめ】原因から対処まで

肝臓の役割肝臓は腹腔内の右側にある大きな臓器で、生命維持に欠かせない多くの機能を担っています。中でも特に重要なのは以下の3つです。解毒 食べ物に含まれる化学物質や、体内で生じる有害物質を分解・無毒化する。薬の代謝もこの一部です。代謝 糖・脂質・タンパク質などの栄養素を必要な形に変換したり、一時的に蓄えたりすることで、体のエネルギー供給と維持に貢献します。排泄 代謝の過程で生じた老廃物を胆汁に混ぜて排泄します。胆汁は肝臓で作られ、胆のうを経て腸へ送り出されます。こうした働きを日々休まず行っているため、肝臓は「体の中の化学工場」とも呼ばれます。肝臓には独特の構造があります。肝動脈(心臓からの酸素豊富な血)と門脈(腸からの栄養豊富な血)という二つの血管から血液を受け取り、肝臓内で合流しながら解毒・代謝・ろ過が行われます。人の場合、1日あたり2000リットル以上の血液が通過する巨大なろ過装置でもあります。肝臓の特徴——タフさと再生力肝臓には二つの大きな特徴があります。一つ目はタフさです。肝臓の2/3を失っても生命維持が可能で、残された部分が再生して機能を回復します。多少のダメージがあっても他の...
病気の本音

【皮膚ケア・対談音声つき④】アルピニアの本音と余談

ここまで3回にわたって、皮膚炎のメカニズム、マラセチア、薬との使い分けを話してきました。今回はいよいよ本題です。アルピニアとは何か。どう使うのか。実際の変化はどうなのか。開発者である佐々木先生に、包み隠さず話してもらいました。佐々木先生との対談音声(④)今回はとくに熱が入るセクションだったので、長めの対談になってしまいました。すみません。散歩中にでも聞いて頂ければと思います。佐々木動物病院の改善率の高さ佐々木先生の動物病院では、皮膚炎が長引く子にほぼ100%アルピニアを提案しているといいます。佐々木動物病院での皮膚病の改善率は感覚値で50%以上。ただしこれはアルピニア単体での数字ではありません。最初は薬と併用しながら始めて、症状が落ち着くにつれて薬を減らしていく。最終的に薬なしでアルピニア単体で管理できるようになった子も少なくない、という話です。アトピー性皮膚炎は繰り返す性質がありますが、再発の間隔が長くなる、症状が軽くなる——そういう変化が出てくる子が多いといいます。なぜ薬剤師がアルピニアを勧めるのか私は薬剤師です。薬の専門家として正直に言います。まず安全性で評価しなくてはなりません...
病気の本音

【皮膚ケア・対談音声つき③】薬の役割と限界

前回まで、アレルギー性皮膚炎からマラセチアへの連鎖、シャンプーの落とし穴について話しました。今回は「では薬はどう使うべきか」という、飼い主が一番迷うところを佐々木先生に直接聞きました。これまでの対談と重複する内容もあります。ただ薬剤師として、偏った話はしたくない。アイテムを紹介するにしても、薬を叩いて良さを強調するようなことにはしたくないのです。その性分で、あえてこの回を作りました。佐々木先生との対談音声(③)アルピニア開発者の佐々木先生も、薬は使います。そのうえで、薬には良い面と悪い面があることを理解して、正しく付き合っていくという、長期戦略的な話です。火災報知器が鳴っているのに眠れるか「火災報知器のアラームが鳴っている。サプリメントはその原因を探して根本から消火しようとするもの。でもまず、うるさいから止めないといけない。静かになってから、燃えているところを探せばいい。」痒みで夜も眠れない。それは犬だけではなく、それを見ている飼い主も眠れない。ダブルで限界になっている状態に、「3ヶ月飲めば変わってきますよ」とサプリの話をするのは現実的ではない。まず痒みを止める。そのために薬は必要です...
病気の本音

【皮膚ケア・対談音声つき②】マラセチア皮膚炎とシャンプーの関係

前回はアレルギー性皮膚炎から細菌性皮膚炎への連鎖について話しました。今回は、特に治りにくいと言われるマラセチア(真菌性皮膚炎)について、佐々木先生に深く聞きました。飼い主がやっていることが、実は悪化の原因になっているという、ちょっと耳の痛い話です。佐々木先生との対談音声(②)マラセチアじゃなくても、勉強になると思います。シャンプーのところは飼い主みんなに知ってもらいたい。※際どすぎる部分を一部カットしております。マラセチアとは何かマラセチアは細菌ではなく、真菌——カビの仲間です。ただし一般的なカビ(糸状菌)とも少し違う。顕微鏡で見ると雪だるまのような形をしており、パンのイースト菌に近い酵母菌の仲間です。佐々木先生によると、嗅ぐと甘酸っぱい匂いがするといいます。酵母菌が発酵しているためで、食パンのような匂いに近い。この匂いで「マラセチアがいる」と判断できるほどだといいます。一般的な抗生剤は細菌に効くものです。真菌であるマラセチアには効かない。抗真菌薬が必要になりますが、これが肝臓に負担をかけるというジレンマがあります。シャンプーのいい匂いがする子は要注意佐々木先生が臨床で気づいたことがあ...
病気の本音

【皮膚ケア・対談音声つき①】なぜペットの皮膚は弱いのか

ペットの皮膚炎で悩んでいる飼い主は多い。動物病院に行くと抗生剤やステロイドが処方される。一度治っても、また再発する。そのループに疲れている方も少なくないと思います。今回、アルピニアの開発者である佐々木先生と対談しました。臨床現場で日々ペットの皮膚炎と向き合っている獣医師の言葉は、私の認識をさらに整理してくれるものでした。佐々木先生との対談音声(①)文章に書き出しきれないボリュームの対談です。全部聞く必要はありません。つまみ聞きしてください。和やかな雰囲気ですけど、会話の内容はけっこう鋭いです。臨床で一番多いのはアレルギー性皮膚炎佐々木先生に「皮膚炎で一番多いのは何ですか」と聞いたところ、アレルギー性皮膚炎でした。やはりという感じ。花粉、食事、ハウスダスト——原因はさまざまですが、共通しているのは「痒い」という症状です。そして痒いから掻く。この「掻く」という行為が、次の問題を引き起こします。ペットの皮膚は、人に比べてバリアになる角質が薄く、そのため弱い。被毛が守ってくれているが、皮膚そのものは構造的に弱い。さらにpHが高いため(アルカリ性寄り)、搔くという物理刺激で連鎖的に悪化する。細菌...
病気の本音

【腎臓ケアまとめ⑤】その他のピース

腎臓は寿命を決定づけるほどの重要な臓器。その腎臓を守るための知識とアイデアを複数の記事で紹介してきました。しかしながら腎臓は身体から独立しているわけではありません。腎臓が体に影響を与えるのと同時に、全身の健康状態も腎臓に影響を与えます。まだまだ伝えきれていないことは多々あります。その一部をここで紹介しますね。良いアイデアは、組み合わせることで相乗効果を発揮し、結果として成功率を高めます!葉物野菜から「根菜類」へのシフト手作り食やトッピングで、キャベツなどの「葉物野菜」を与えている方は多いでしょう。しかし、ここで考えなければならないのが「残留農薬」という問題です。日本にいる限り完全には逃げられませんが、毒の排泄器官である腎臓を守るときには、少し工夫しましょう。葉物野菜よりも根菜類をお勧めします。残留農薬のリスクを低めに抑えるためです。もうひとつ理由があり、それは腸内環境の改善効果です。根菜類の腸内改善効果は葉物野菜より優れているという研究データが存在します。私の実感と一致します。あと人気のトッピングにブロッコリーがありますが、いま私がもっとも危険視している食材の一つです。 サバ缶(EPA...
病気の本音

【腎臓ケアまとめ④】ストレス管理の失敗

これまで『高タンパク食』や『尿量不足』といった、物質的な要因がどのように腎臓の限界を超えさせるのかをお話ししてきました。今回は、腎臓の寿命を左右するもう一つの巨大な要因、「ストレス管理の失敗」についてお話しします。「ストレスは万病の元」とよく言われますが、これは単なる精神論ではありません。目に見えないストレスが、いかにして「物理的」に腎臓を破壊していくのか。現代医療が軽視しがちなこの重要なメンタル要素を、少し専門的な自然科学の話も交えながら解説していきます。理解してしまえば、ペットの腎臓ケアの精度が数段階高まります。ストレスが腎臓を破壊するメカニズム動物が不安や強いストレスを感じたとき、体は「敵と戦うか、逃げるか」という極度の緊張状態(交感神経の優位)になります。この時、体内で何が起きているのでしょう。交感神経の過緊張と血流低下身体はストレスを感じると、交感神経が優位になります。 血管の収縮: 交感神経は全身の血管を収縮させます。腎臓の「糸球体(しきゅうたい)」という毛細血管も同様です。 酸素不足: 血管が縮まると、腎臓への血流量が減ります。酸素が不足気味でも腎臓は仕事を続けなくてはな...
病気の本音

【腎臓ケアまとめ③】飲水量と塩分の不都合な真実

前回はペットの腎臓の負担として、高タンパク食と過食について触れました。生命の本来の仕様と現代の食事のズレが、いかに内臓の限界を超えさせているかの話でした。今回は、腎臓の寿命を左右するもう一つの大きな要因、「尿量不足(飲水量の減少)」についてお話しします。この問題を考える上で、外せない前提があります。それは「飲水量と塩分はセットである」ということです。ここで、現代の動物医療が抱える少し「不都合な真実」に触れることになります。スープでも飲みながら、ほっこりと読み進めてみてください。塩分制限という「常識」の落とし穴ペット健康相談でも「塩分制限」や「塩抜き」を意識している飼い主さんは少なくありません。動物病院でも、「心臓や腎臓のために塩分は控えるように」と指導されるのが一般的です。 もしかすると皆さんも、良かれと思って食事から塩分を徹底的に排除しているのではないでしょうか。しかし、ここに大きな落とし穴があります。人間も同じですが、食事に塩分が含まれていなければ、生き物は自然な喉の渇きを感じません。塩(ナトリウム)は血液の浸透圧を保つ重要なミネラルであり、不足している場合の生体は、飲水量を減らそ...
病気の本音

【腎臓ケアまとめ②】高タンパク食と過食

こんにちは。岡田です。前回は、腎臓がゴミ処理場ではなく、身体の究極のエコシステムである「リサイクルセンター」であることをお話ししました。今回は、その大切なフィルターに日々ダメージを与え続けている原因の一つ、「高タンパク食と過食」についてお話しします。少し専門的な生命科学のメカニズムも出てきますが、分かりやすく順番に解説していきますので、ペットを抱っこしながらゆっくり読み進めてみてください。腎臓の負担の根本:野生と現代の「ズレ」ペットフードのパッケージを見ると、「高タンパク・低脂質」を謳う商品がたくさん並んでいます。良かれと思って選んでいる飼い主さんも多いと思いますが、実はここに、腎臓に負担をかけてしまう明確な理由が隠れています。このラインより上のエリアが無料で表示されます。結論から言うと、「本来の腎臓の仕様」と「現代の高タンパク食」に乖離が生じていること。これが腎臓に負担をかけている根源です。犬の祖先を含め、野生の動物にとって、お肉(タンパク質)は毎日食べられるものではありませんでした。狩りに失敗し、何日も空腹で過ごすことは当たり前です。歴史的に見て、タンパク質とは「滅多に手に入らない...
病気の本音

【腎臓ケアまとめ①】腎臓病の理解と現状

この「腎臓ケアの知識とアイデア」シリーズでは、ペットの健康長寿を決定づける最大の要である「腎臓」について、いくつかのテーマに分けてお話ししていきます。皆さんはどの記事から読んでいただいても構いませんが、まずは腎臓という臓器の「本当の姿」を知っていただくために、この『①腎臓病の真実』から目を通していただけると嬉しいです。がんに並ぶ死因のトップ、それが「腎臓病」私が日々受けている相談において、腎臓病はトップクラスの悩みです。各種ペット保険会社が公表している統計データ等を見ても、現代の犬猫の死因において「がん(悪性腫瘍)」と並んで常にトップクラスに位置しています。どんなに心臓が強くても、足腰が丈夫でも、腎臓病が進行すればQOL(生活の質)は低下し、完全に壊れてしまえば生命活動はその時点で終了となってしまいます。腎臓はまさに「寿命を決定する要の臓器」なのです。腎臓の本当の役割:「リサイクルセンター」と「血液の工場長」腎臓と聞くと「尿を作る場所」というイメージが強いですが、その役割は極めて多岐にわたります。主な仕事は、体内の毒素やゴミを24時間体制で濾過して捨てる「最重要のゴミ処理場」です。いや...
病気の本音

【胆泥症まとめ】原因から対処まで

健康な胆のうの構造と活動私たちは「胆泥(たんでい)」という現象を語るとき、どうしてもその中身である「胆汁」の状態に目を奪われがちです。しかし、「胆泥の問題」の主体は胆のうの収縮力不足です。本質的な理解のためには、胆泥が生じる「胆のう」という臓器が、生体内で何に反応して、収縮しているのかを知る必要があります。すでに私の推奨するアルピニアなどのサプリメントを活用されている方は、その働きを最大限に引き出すための『前提条件』としてこの記事を読んでいただきたいと思います。特に、世間の常識である『過度な脂質制限』は、時としてサプリメントの良さを弱めたり、私の本当の願いである「ご愛犬とご愛猫の健康長寿」にネガティブな側面があります。サプリと食事が噛み合ったときに生まれる相乗効果。そのメカニズムを紐解いていきましょう。では、まいりましょう。まずは、健康な状態における胆のうの物理的な構造と、生理学的な役割を整理してみましょう。肝臓に隣接する、「胆汁の保管倉庫」胆のうは、肝臓にぴったりと張り付くように隣接しています。肝臓は、24時間休みなく胆汁を産生し続ける「巨大な工場」です。しかし、作られた胆汁は常に消...