常識が非常識になる栄養科学のQ&A

栄養の本音

Q1. 空腹時間で長寿って、どういった仕組みですか? 動物の体は食糧難の時代にあわせて設計されており、長い空腹時間は体に負荷が少なく、壊れにくい。病気が減るために寿命が短くなりにくい。つまり長寿になりやすいということです。現代の我々には想像できませんが、つい200年前まで人は常に飢餓に悩まされ、食べるものが無くて死ぬ人もいました。人に依存して生きる犬や猫たちも同じです。500年前、1000年前、1万年前、10万年前と、時代を遡るほど厳しい時代だったのは言うまでもありません。そうした時代を生き抜くことができたのは、身体の中にオートファジーという仕組みがあるおかげです。本来は壊れた筋肉を便や尿に捨てません。一旦バラバラの材料にして、また筋肉に作り変えます。このエコなリサイクルシステムは、身体にとって負荷が少ないのです。車に例えれば、少燃費運転がエンジンを長持ちさせるような感じです。現代はこのエコカーにガソリンを注ぎ込み、アクセル全開で運転している状態、そう考えてもらって良いでしょう。

Q2. 草食動物の仕組みは雑食でも可能ですか? 可能です。まず我々日本人で考えてみましょう。今のように当たり前に肉を食べるのは戦後の高度成長期からです。世界から評価されている伝統的な日本食や家庭料理は、ほとんど肉を使いません。江戸時代は庶民の肉食が禁じられ、その流れは明治や大正でも大きく変わりませんでした。しかし当時の人々の運動量は現代人を遥かに超えます。強い筋肉と持久力が支えていました。近年、密かに話題となったパプアニューギニアの現地人たちは、サツマイモが主食でありながら筋肉質です。彼らのタンパク摂取量は、我々に比べて圧倒的に少量です。身近な例も存在します。赤ちゃんは離乳食で筋肉を増やし立ち上がります。いわゆるベジタリアンと呼ばれる人たちに栄養失調による短命傾向は見られません。私の調べにおいて犬も同様です。昭和時代まで犬に肉を与えることはおかしなことでした。もし江戸時代に犬に肉を与える者がいれば、処罰さえあり得たと思います。歴史と事実を正しく検証すれば、私の答えが正しいとなります。

Q3. アメリカ基準の食事量を与えたら食べすぎですよね? そうですね、アメリカ基準のカロリー摂取量が日本のペットにも一致するという考え方はおかしいですし、過食による短命リスクを増大させます。まずアメリカの犬の飼育頭数は7000万頭以上、日本の犬は激減中で、たぶん600万頭台です。アメリカは家や敷地の広さ、行動が許容される範囲の広さ、飼い主の行動範囲などから、犬の活動量は多めです。消費するカロリーが多いので、推奨される摂取カロリーも多めです。これを日本の屋内犬に適応しては過食になるのは当然です。そんなことをしていたら、がんや腎臓病が増えるはずです。私の観察ではありますが、アメリカ基準信仰が広まりだしたあたりから、がんや腎臓病が多くなったと思います。

Q4. 高タンパク食による短命リスクにはどんなものがありますか? 高タンパク食には複数のリスクがあります。ひとつは腸内環境の破壊です。高タンパク食では悪玉菌が増加することが知られており、さらに悪玉菌はタンパク質からアンモニアという毒性物質を作り出します。アンモニアは腸から吸収され体を内側から傷つけます。とくに脳に届けば意識障害を起こす可能性があります。それを防ぐために肝臓は全身のアンモニアをかき集め処理。身代わりとなって肝臓自体がダメージを受けます。肝機能が低下しても大量のタンパク食を続けていると、アンモニアは全身を傷つけ慢性炎症を起こします。血栓症による突発的なリスクも増加します。もうひとつ問題を挙げます。高タンパクによる腎臓破壊です。必要以上のタンパク質を取り続けた場合、腎臓の濾過機能を担う糸球体に負荷がかかります。腎臓はその寿命が身体の寿命とも言えるほどの重要な臓器です。また一度壊れるとほとんど再生できません。事実、腎臓が壊れると低タンパク食が推奨されます。

Q5. 飲水の量が少ないんですけど、これってマズイですよね? 少なさの程度によりますが、あまり良くありません。水は酸素の次に重要だと言えます。細胞や組織を潤し、物質の移動を助け、老廃物を抱えて体外に出ていきます。肺からの蒸発で体温調整にも貢献しています。なお飲水量は次の式でだいたいの辻褄が合います。飲水量=尿量+便中の水分+肺や体表からの蒸発。不足するとまず体は尿量を減らします。しかし老廃物は捨てなくてはならないために、尿は濃くなります。濃い尿の生成は腎臓の負荷となり、早期に腎臓病になるリスクを増加させます。やがて体液や血液量も減らし、血液も濃くなります。血管が詰まりやすくなり、特発的リスクが増大します。

Q6. 食事を水浸しにすれば水分は十分ですよね? 食事を水浸しにするという対策は有名ですが、意外と効かないことがあります。理由は、その分普段の飲水量が減ってしまうケースがあるためです。食事の美味しさが失われるうえに、意味がないとしたら対策どころではありません。代替策としてお勧めしているのは、食事とは別に手作りスープや飲水に少し味つけして喜ばせる方法です。人と同じで、水道水はがぶがぶ飲まないけれど、お茶やジュース、コーヒー、ビールならたくさん飲むのと同じ理屈です。喉の渇きに頼っていては飲水量を増やすことは難しいでしょう。

Q7. 塩が必要ってことですけど野生動物は塩を摂らないですよね? 野生動物にとっても塩は命綱です。肉食獣であれば獲物の血ごと取り入れることで塩分を補給します。草食動物では「塩舐め場」や、塩が比較的濃い土壌から摂取します。土に塩があるのは不思議に思うかもしれませんが、過去に海だった場所が山になっている場所もあります。そこに降った雨が干上がれば塩場が形成されます。ミネラルを集めやすい植物を食べる動物もいます。安定的に塩が得られる土地では動物が増えやすく、完全に塩がない土地では動物は少なくなります。


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