肝臓病の本質

肝臓病の本当の原因ってなに?

肝臓病を引き起こす本質的な原因を探っていくと、ウイルスや細菌による感染症に行き着きます。
代表的なものは肝炎ウイルス感染や細菌性の胆管感染です。
さらに本質的に考えれば、そうした感染を許してしまう「免疫力の悪さ」が本当の肝臓病の原因です。
少なくともネットに書かれている程度のこと、たとえばフードの種類や何の肉が良いかということではありません。

 

肝臓病って結局はどういう状態?

肝臓には、心臓や腎臓と決定的に違う特徴があります。
それは壊れることを前提としているという点、そして再生する(自己修復能力を持っている)という点です。
肝臓には、毎日壊れる代わりに、毎日再生する能力が与えられています。
つまり肝臓病とは、壊れるのが速すぎる状態、もしくは再生が遅すぎる状態と言うことができます。

 

肝臓病は食事と関係する?

間接的に関係します。
肝臓病は「生活習慣病」であり、おかしな食生活、意図的な偏食(偏った食事療法)が引き金になっています。
そうした食事が菌のバランスを崩したり、免疫を低下させて肝臓病に関わります。
また本人の楽しみを奪い、意欲を低下させるつまらない食生活も、回り回って肝臓病に関係します。

 

他に肝臓病に関わることはある?

まだまだありますが、前述の免疫低下に関わるものとして、そして見逃している方が多いものとして薬の副作用を挙げてみます。
肝臓に悪い薬の代表は、免疫抑制作用を持つものです。
肝臓病の本質的な原因であるウイルスや細菌感染症を悪化させるためです。
免疫を抑制してしまう薬は、ステロイド剤、一部のかゆみ止めなど、そしてほぼすべての抗がん剤が該当します。
薬つながりでいいますと、農薬は免疫を狂わるうえに、細胞毒として肝臓を破壊します。
そうした毒は体に入ったあと肝臓に集められます。
肝臓内では毒の濃度が高くなり、肝臓が急速に壊れた場合は急性肝炎の様相を呈します。
肝臓は、その身を挺して他の臓器を守り抜く献身的な臓器なのですが、限界があることは知っておきましょう。
弱い薬でも複数併用している場合、さらに葉物野菜をたくさん与えているような場合は注意が必要です。

 

肝炎ウイルス

人の肝臓病は、そのほとんどが肝炎ウイルスによるものです。
犬も猫も同じだと考えるのが妥当であり、私からすると当然の認識なのですが、なぜか動物病院はそこに触れません。
ウイルスを抑えるのは免疫であるために、そうした話になると動物病院には根本的な治療法が無くなってしまうからかもしれません。
私の推測では、多くの子はすでに肝炎ウイルスを持っています。
なお病院が多用するウルソやスパカールといった薬は免疫にプラスになりません。
ただの対処療法であるがゆえ、結論として反応が良くありません。
奏功したという話もあまり聞いたことがありません。

 

肝炎ウイルスを持っていても大丈夫なの?

ウイルスを持っているだけならば大丈夫です。
免疫が抑えてくれているためです。
しかし免疫が低下している場合はウイルスは暴れやすくなります。
肝細胞を壊してALTが血に漏れ出し、エコーで見ると肝臓全体が腫れ上がります。

 

どこで肝炎ウイルスが感染ったの?

どこでも感染り、特定は困難です。
多くの場合、肝炎ウイルスは口から入ってきます。
うんちに出たウイルスが、周りの土、道路、草木、落ち葉に付着し、体毛や手足を経由して簡単に口に入ります。
母子感染も、輸血、交尾による感染もありえます。
病気の子が集まる病院、体毛をカットするトリミング、散歩中、ドッグラン、いたるところが感染場所になりえます。
はっきりわかっていませんが、人から普通に感染る可能性もあります。

 

うちの子も肝炎ウイルスをもっているの?

おそらく持っていると思います。
肝炎ウイルスを詳しく調べてくれる動物病院はほぼなく、検査があったとしてもそれが正確であるかどうかわかりません。

 

免疫を上げるにはどうしたら良いの?

免疫の仕組みは複雑ですが、簡単に言うと2つのアプローチがあります。
ひとつは免疫を狂わせるものを摂らないこと。
もうひとつは免疫を強化することです。
前者は短期的、後者は長期的な視点から免疫を上げる方法であり、どちらも両輪で取り組んでおくべきことです。

 

免疫の強化ってどういうこと?

免疫は武道家に似ているところがあります。
武道家が稽古やトレーニングといった鍛錬を積んで強くなっていくように、免疫もたくさんの細菌やウイルスに触れることで強くなっていきます。
そういう意味で、散歩やドッグランはとても良いです。
逆に言えば、修行せずに清潔で楽な環境にばかりいると、免疫は弱くなっていきます。
もちろん稽古ばかりではヘタってしまいますので、休ませることも大事です。
良い睡眠をとること、ストレス解消のためによく笑う(楽しむ)ことも、免疫修行の一環と考えて良いでしょう。
ちなみにストレスはある程度あったほうが良く、逃げまくるのではなく、解消するもの、吹き飛ばすものだとお考えください。

 

肝臓に良い(悪い)食べ物ってなに?

まず前提として、過食は肝臓の負担です。
いくら良い食べ物だと言っても、適量が大切です。
本気の肝臓治療では、絶食が効果的なケースも有ることは認知しておいてください。
食べるたびに肝臓が疲れる、空腹でひまな時間に再生が捗ると考えてもらうと良いです。
そのうえで、免疫を高めること、腸内の悪玉菌を減らしアンモニア産生量を減らす食事が良いでしょう。
菌に関わる食品の多くは肝臓治療で有効となりえます。
とくにひきわり納豆は摂るべきですし、多くの方に勧めてきてその効果を実感しています。
多くの根菜類も納豆に準じてお勧めします。
かたや肉類(タンパク質)は腸内環境を悪くするために、与えすぎは良くありません。
タンパク質こそがアンモニアの原料です。
良質だろうが何であろうがタンパク質の摂り過ぎはたいてい肝臓病を悪化させます。
ですが楽しみのために少量のトッピングとして肉類を使うのは上手だと思いますし、私もお勧めしています。
好きなものを制限しすぎることは楽しみを奪い、結局はストレス解消を阻害して悪材料となることは覚えておいてください。
日本の葉物野菜は残留農薬が多く、免疫を撹乱し、腸内環境を崩すうえ、それ自体が肝臓の毒となりえます。
健康な子はそこまで気にしなくて大丈夫かもしれませんが、治療中の子は根菜類中心が良いでしょう。
果物も農薬が多いので、皮は厚めに剥くようにしましょう。
他に乳製品、甲殻類由来製品は控えめが良いと思います。

 

サプリメントはどうですか?

多くのものは食事で代用ができ、何でも必要だとは考えておりません。
ですのでそうしたものはあまり紹介しませんし、扱いませんし、そもそも開発する気になりません。
逆に私の会社で扱うものは3種類しかありませんが、どれも食事で補いにくいものです。
生活習慣病である肝臓病は、食事を中心とする生活全般の見直しが根本的な治療になりえます。
まずは正しい食事の知識、そして食事を補強しブーストする目的としてサプリメントを活用されるときっと良いでしょう。
少しだけ案内させてもらいますと、免疫力を考えた健康管理ならプライオ、肝臓の再生力を考えた健康管理ならプラセンタクレア、胆泥を考えた健康管理ならアルピニアです。
状況に応じて使い分けたり、組み合わせると良いです。
(悩むときはご相談ください)

 

胆泥症もあるのですが

胆泥症と肝臓病を合併しているケースでは、胆管閉塞などによる胆汁の逆流が肝臓の大きな負担になっていることが疑われます。
胆管が閉塞する理由のひとつは胆管感染症であり、腸内の細菌バランスの悪さや、感染を防げない免疫力の悪さに本質的な原因があります。
程度の差こそあれ胆管感染症を起こしていると想定し、やはりまずは腸内環境の改善に努めてください。
そして前述の肝臓に良い食事に加えて、脂質を少し増やすことを検討してください。
脂質(油)を抜いていると胆汁が出にくくるのが体の自然の摂理であり、胆泥症を悪化させる可能性があるためです。
よほどの理由がなければ、食事全体の15%程度は摂らせると良いでしょう。

 

結局のところ肝臓病は治るのですか?

正しい理解があれば、たいていの肝臓病は意外と早く治ると思います。
逆に本質的に潜む原因を放置して上辺だけで対処していると、たいてい治らないか、長引くことになるでしょう。
もちろん肝臓ががんに侵されている、治療が長引き肝臓の大部分が線維化するような状況に至っていると難しくなってきますが、それでも私は本質的な原因にアプローチすることが大事だと考えています。
そしてもっと大事なことは、治療しているしていないに関わらず、飼い主もペットも幸せな時間を過ごすことです。
もし不安に思えば思うほど治りが良いならば、私もそう伝えるのですが実際は逆です。
幸せや安らぎ、飼い主の笑顔、いっぱい遊んでぐっすり寝るといったことは治療とは無縁だと思われるかもしれませが、実は免疫力を高め、肝臓の再生を促す要素です。
眉間にしわを寄せて穴が開くまで検査表を睨みつけても数値は変わりませんが、愛犬愛猫の目をたくさん見つめたときは何かが変わるかもしれません。
免疫が高まりウイルスが大人しくなるかもしれません。
まずは飼い主の力、ペットたちの力を信じてみましょう。
私は治る方に賭けます。

 

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