不安や心配というメンタルが腸内環境を悪くする——こんな話を信じられるだろうか。最近の研究は、それが事実であることを明らかにしている。そして、腸内環境の悪化は逆にメンタルへも悪影響を及ぼす。
ストレスを感じると、脳から分泌されるホルモンが腸の動きや粘膜バリア機能に影響を与える。腸はそれに反応して腸内細菌のバランスを変化させ、悪玉菌(有害菌)の増加を招く。その結果として腸内環境が乱れ、再び脳へと影響を返す「負のスパイラル」が生じる。
また、悪玉菌が増えることで炎症性物質や毒性物質(アンモニア、フェノール類など)が産生され、それが血流を通じて脳に到達し、神経伝達物質のバランスを崩す。すなわち、ストレスが腸を乱し、乱れた腸がさらに脳を損なう構造がある。
こうした脳腸相関は人間だけでなく、犬や猫にも共通して見られる。不安傾向の強い個体では腸内細菌の多様性が著しく低いという研究も存在する。脳腸相関を無視した健康管理や病気治療は、結果が出にくいと言える。