肝臓の仕組み、役割、特徴

肝臓の仕組み・役割・特徴

肝臓は腹腔内の右側にある大きな臓器で、生命維持に欠かせない多くの機能を担う。中でも特に重要なのは、以下の3つの働き。

解毒
 食べ物に含まれる化学物質や、体内で生じる有害物質を分解・無毒化。薬の代謝もこの一部。

代謝
 糖・脂質・タンパク質などの栄養素を、必要な形に変換したり、一時的に蓄えたりすることで、体のエネルギー供給や維持に貢献。

排泄
 代謝の過程で生じた老廃物を胆汁に混ぜて排泄する。胆汁は肝臓で作られ、胆のうを経て腸へ送りだされる。

こうした働きを日々休まず行っているため、肝臓は「体の中の化学工場」とも呼ばれる。また、肝臓は多少のダメージがあっても、他の臓器よりも粘り強く働き続ける特徴を持つ。

肝臓の構造は独特で、肝動脈(心臓からの酸素豊富な血)と門脈(腸からの栄養豊富な血)という二つの血管から血液を受け取る。これらは互いに直接つながってはいないが、肝臓内の毛細血管様の空間(類洞)で合流し、肝細胞の間を流れながら解毒・代謝・ろ過が行われる。そして中心静脈から肝静脈、最終的には心臓へと戻っていく。

人の場合であるが、肝臓は毎分1〜1.7リットル、1日あたりで2,000リットル以上の血液が通過する。重さで言えば2トンを超える血液の“ろ過場”としても重要な役割を果たしている。

さらに、肝臓は体中から毒素を集めてくるため、有毒物質の濃度が高くなりやすく、肝細胞は日々壊れては再生を繰り返している。こうした仕組みにより健康状態が維持される。また、余力が大きく、肝臓の2/3を失っても生命維持が可能であり、残された部分が再生して機能を回復する。この非常なタフさが与えられているのは、それほどまでに肝臓が生命の恒常性の要となる重要臓器であるためだ。

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