「誰かが得をすれば、誰かが損をする」
そんな考え方を“ゼロサム”と言う。ビジネスや競争の世界ではよく使われる言葉で、利益の総量は決まっていて、誰かが多く取れば誰かが少なくなるという考え方だ。
健康情報の世界にも、いつの間にかこのゼロサムの発想が入り込んでいる。
たとえば、「不安を煽って何かを売る」という構造。
読者が安心を失い、不安を解消するために何かを買う。安心と利益が入れ替わる。
それはまさに、誰かの損が誰かの得になる構造である。
だが、私たちが本当に目指すべき構造は違う。
「安心を与えることで、安心が返ってくる」
これはゼロサムではない。相手が安定し、自分も安定する。
情報が通い、信頼が育ち、関係が続く。これを私は「共振」だと考えている。
犬や猫の相談でも同じである。
不安な気持ちに寄り添い、必要な知識だけを届ける。
すると、飼い主の安心がこちらにも返ってくる。
それは売上ではなく、関係の証明として返ってくる。
私は、そういう構造が広がっていく世の中を望んでいる。
たとえそれが難しくても、少なくとも自分はそれを貫き通したい。
安心を削って得る利益より、安心が重なって生まれる信頼のほうが、
ずっと価値があると信じている。