腎臓病の発症および進行にストレスが関わっていることは明らかにされている。その詳しいメカニズムにおいてはまだ未解明部分が山ほどあるのだが、そのうえでいくつか紹介する。
慢性的なストレス状態では、自律神経のうち交感神経が優位となり、腎臓への血流が減少する。これにより糸球体のろ過圧が低下し、老廃物の排泄効率が落ちる。
※これについては腎臓障害の進行との関連性は薄いように思える。
加えて、ストレスホルモン(コルチゾール)の継続的分泌は、全身の炎症反応を促進し、腎臓の細胞構造にも慢性的なダメージを与える。ストレスは単なる心理状態ではなく、臓器そのものの構造を変質させる物理的因子である。
腎臓は、血液から老廃物を除去し、必要な物質を再吸収する極めて高度なシステムを持つ。その働きには酸素とエネルギー(ATP)が不可欠であり、血流がその両方を提供する。血流の減少は、通常ルートでの栄養供給を不足させ、負荷の高い別ルートによるエネルギー産生を強いることとなる。
冒頭に書いた通り、腎臓病の進行メカニズム、そしてストレスとの因果関係には未解明な部分も多い。同じ環境にいても進行が速い個体とそうでない個体があり、コルチゾールや交感神経、腎臓の神経支配などの複雑な相互作用が示唆されているが、依然として確定的とは言えない。
重要なのは、ストレスが腎機能に悪影響を与える“確率”を確実に上げるという事実である。ストレス対策は感情論ではなく、物理的な腎臓保護に直結している。