私たちに正しい栄養知識を伝え、国民を健康長寿と幸せに導くのが栄養士の務めである。ならば彼ら自身が実践者であるべきだが、実は栄養士が長寿であるとしたデータは日本にも世界にも見当たらない。
栄養士の発信する情報が嘘だと言うわけではない。「GI値の低い食品を選ぶ」「30回噛んでから飲み込む」「良質なタンパク質をしっかり」などの発信は、根幹の部分からズレた枝葉的な情報のように思える。やはり実行者の体現が伴わない限り、説得力を欠く。
人とペットが抱える現代病は、生活習慣が強く影響する「後天性疾患」が主である。生活習慣の中でも食事の影響は大きい。
多くの飼い主は栄養バランスや添加物に高い関心を持っている。たしかにそれらも無視はできないが、根本的な原因を見過ごしているようだ。
根本的な問題の一つは、ずばり「過食」である。他にもトランス脂肪酸、残留農薬など、栄養士がけして口にしない食の問題が存在する。
食事の楽しみについてもあまり語られない。食体験が身体と精神に好影響を与え、健康に寄与するという研究は豊富にあるが、体系に組み込まれておらず軽視されている。