長生きペットの共通点-生き方と感謝の構造

長寿の犬や猫には、ひとつの共通点がある。これまでのペット健康相談で見出した私見ではあるが、おそらく正しい。この考えを補助する研究がいくつもあるためだ。

長生きの共通点、それは過剰に管理されていないことだ。
飼い主は神経質すぎず、けれど大事な変化には気づく。
そんな“平熱の観察力”の中で、ペットたちは穏やかに生きている。
実に抽象的ではあるが、逆に具体的な共通点というもののほうが少ない。

例えば具体的な共通の食事というものはなく、むしろ食事内容は驚くほどバラバラだ。
市販フードだけの子もいれば、人の食材を与えられている子もいる。
信じがたいが、中には菓子類をときどき食べていたり、少量のお酒を飼い主と一緒に楽しんでいる子もいた。

しかしそこから逆説的に共通点が見いだせる。
食事を楽しむということだ。
特に人と暮らす時間が長くなってくると、食の内容と同等、もしくはそれ以上に「誰と、どんな気分で、どんな環境で食べているか」がおそらく長寿に影響する可能性が高い。メンタルの健康、つまりストレス管理の良さが長寿に関わる。

ペットが我慢し続ける、最大のストレスとは

人間の超高齢者にも同じ傾向がみられる。
食事を楽しみ、もっと言えば食事に感謝している。
戦争や飢えを経験しながらも、いま目の前にある食事に感謝を持ち、
決して“足りない”ばかりを見ていない。
これはただのメンタルの話ではなく、そうした人たちは体も壊れにくいことがいくつもの研究が支持している。

感謝や満足といったポジティブな感情は、脳と腸の相関を通じて炎症を抑えるとされている。
腸内環境は神経系・免疫系・内分泌系と密接に結びついており、
「ありがたい」「美味しい」と感じること自体が、身体の敵を鎮めている可能性があるのだ。

長生きとは、完璧な物質的健康管理の結果ではなく、意識と深く関わっている。
長生きを言い換えれば、身体が壊れずに長期間機能し続けているという現象である。
身体の機能に広く蝕む「体内炎症」の管理、ここに意識というものが強く影響している。

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