ペットを守るうえで、正しい知識が必要なことは言うまでもありません。
しかしながら、私の結論を言えば、正しい知識を持っている飼い主さんはごく僅かです。仕方のないことではありますが、視点も狭く、動物医療業界の光と影を見れていません。
あえて厳しく言います。本当に気をつけないと、医療という産業に飲み込まれてしまいます。
そうならないための視点を、以下に可能な限りフラットに、事実ベースで示しておきます。
犬は増えている
→いいえ、激減しています。2010年からのわずか15年間で、1200万頭いた犬は600万頭に半減しました。
猫ブームが来ている
→いいえ、猫ブームは来ていません。殺処分ゼロの大号令の下で、外猫まで避妊去勢を推し進めた結果、猫は壊滅的な危機に瀕しています。
動物病院は増えている
→はい、2025年現在は事実です。ペットが減っているのに動物病院が増えている。この構造は明らかに不均衡です。
ペットの医療費が上昇している
→はい、15年で数倍に増加してます。動物病院は、ペットの減少にともない、一人からより多くの医療費をもらうことで経営を成り立たせています。
医療費はそろそろ下がる
→いいえ、今後も上昇し続けるでしょう。抜本的な構造改革が成されない限り、ペットの増加は見込めないためです。
検査が多い
→はい、以前に比べて増加しています。
小型犬が増えた
→その通りです。15年間でまず大型犬が減少し、ついで中型犬が減少、現在は小型犬、超小型犬が主流です。
投薬量が増えた
→何とも言えません。投薬の種類が増えても、犬の小型化により投与量が少なくなっています。
治る病気が増えた
→何とも言えません。むしろペットの通院回数は増加し、治療期間も長期化しているように感じます。
検査により病気が治りやすくなった
→いいえ、検査と治癒率は直結しません。定期検診やCTで病気が治るというのは幻想のような部分もあります。
動物病院は治療期間短縮に努めている
→何とも言えません。努めていたとしても結果が伴っていないように見えます。
健康なペットが増えると動物病院は困る
→はい、その通りです。検査・治療が収益源である限り、経営的に困る構造です。
医療は進歩している
→どちらかと言うと、いいえです。検査分野で進歩は見られるものの、治療はあまり進歩しておらず、高額化に見合っていません。
ペット保険は有利
→考え方によるものの、基本は自分で積み立てるほうが有利です。また保険加入していると治療が増える傾向が見られます。
セフルケアは効果が薄い
→いいえ、上記を理解できれば、そうでもないことがわかります。もちろん飼い主が正しい知識を身に着けていることが前提です。
家で治せる病気はない
→いいえ、たくさんあります。いま多いのは生活習慣に関わる病気であり、生活習慣の見直しが根本的な治療と言えます。
薬で治る病気は多い
→いいえ、少数です。ほとんどの薬は症状緩和が目的です。完治するのは、あくまで原因除去や自己治癒力によるものです。
獣医師によって言うことが異なる
→はい、事実です。よくあります。獣医師によって観察力、問診力、洞察力、知識量に差があるためです。
獣医師は絶対に謝らない
→いいえ、謝るケースもあります。しかし一般の感覚からすると、あまり謝らない人たちと感じるかもしれません。
獣医師は飼い主の気持ちを汲んでくれない
→いろいろな獣医師がいて、何とも言えません。それが正しいことも、そうでないこともあるでしょう。業界の事情もあるかもしれません。
獣医師はプライドが高い
→はい、その傾向があります。プライドはコミュニケーションの障害となるため、相手に感じさせることは望ましくありません。
治療で病気になる
→はい、有り得ます。医原病は珍しくなく、投薬や食事制限の代償も含むため、水面下で多数発生していると思われます。
ネット情報は信用できる
→いいえ、鵜呑みにはできません。視点の偏った情報、体の仕組みを無視した情報が多いことが気になります。
飼い主も治療に参加する
→はい、そうするべきです。動物病院の治療をチェックし評価するのは飼い主です。丸投げは相当に危険です。
最後に
いま、動物医療は静かに変わってきています。
ペットの数は減り、医療費は上がり、病気は増えているように見える。
「おまかせ」で済む時代は終わり、何を選び、何を避け、何を学ぶか。
その一つ一つが、あなたのペットの健康と寿命を左右します。