犬の死因の第一位はがん(悪性腫瘍)である。いまや当たり前となっているが、過去の発がん率は低かった。(昭和後期の死因:フィラリア、事故)
長寿化が発がんの要因であると言うこともできるが、それだけで異常な犬の発がん率を説明することはできない。
犬の発がん率の異常さ
他の動物と比較すると、犬の発がん率の高さが明確になる。
動物種 | がん発症率(生涯) | 平均寿命 |
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犬 | 約50% | 約12年 |
猫 | 約25% | 約15年 |
人 | 約30% | 約80年 |
馬 | 約10% | 約25年 |
牛 | 約15% | 約20年 |
象 | 約5% | 約60年 |
数値は世界の概算。人が30%程度と低いことに違和感を覚えるかもしれないが、概ね正しい。2人に1人ががんになるのは日本人に限った話である。
観察
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犬は他のどの動物よりも高頻度でがんを発症する
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しかも10〜12年程度の寿命の中で、すでに50%前後ががんを発症している
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人間よりも短命なのに、がんの出現は早期かつ高頻度
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猫と比較しても2倍近い罹患率
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象のような大型長寿動物でもがんは稀であり、犬の多さは特異
一般的な考察
- 長寿化
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犬種ごとの遺伝
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留守番のストレス
- 食事の添加物
本質的な考察(断定ではなく可能性)
考察の前に必要な整理。
現代の犬のデータであること。データが先進国に偏っている可能性について。超高齢犬にもがん検査を実施している現状。
誤診率の検証が必要。過去データとの比較が必要。
- 犬にのみ投与される薬剤
- 肉食への急転換
- 人間扱いによるストレス感受性の上昇
- 褒めすぎによるストレス耐性の低下
- 運動量に見合わない過食
- 吠えること、遠吠えの制限
- 糞食・他食文化の消失
- 食事の多様性の消失
- 衛生環境向上にともなう共生細菌の減少
- 菌減少による自然治癒力、免疫力の弱体化
- 薬剤投与量の増加
- 医療依存に伴う医原病リスク上昇
- 農薬摂取量
犬自体の問題ではないだろう。犬に良いとされる常識の中に、がんを増やす原因が潜んでいると疑うことはタブーだが、その視点が求められている。おそらく医療の高度化では発がん率を下げられない。